第6章 北緯三十五度のトラウマ

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◇  あたしは、次の日の放課後、一人でまたあの駅の近くにある公団アパートに向かった。 大丈夫。 別に気持ち悪くなって気絶したって死ぬことはない。 万が一に備えて、携帯でお母さんの番号を表示させておく。 また気絶しそうになったら電話だな。 でも絶対に、絶対に今度は気絶しない。 どんな記憶であれ、たかだか記憶だ。 過去だ。 今じゃない。 その記憶によってアキが救われるんなら、あたしはそれを思い出さなくちゃならない。
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