第1章 午前八時の三角定規

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「うーんー」 目の前に突如現れた難問に、もみじ亭の抹茶シフォンもあえなく敗退する。 これはかなり珍しい現象だよ。 Jリーガーになって出ていったお兄ちゃんが一緒に住んでた頃は、こんなおやつが家にあるなんて、危機的状況だった。 早いもん勝ち主義のお兄ちゃんがいなくなった今、あたしのおやつに手をつける人はいない。 嗜好も変わってきたのか、帰ってきてもそれほど極上スイーツにも執着しなくなったお兄ちゃんだけどさ。 「瑠璃?」 「お母さん、あたしちょっとリカんちに行ってくるわ」 「あらそう? じゃ夕食の後に一緒に食べようか」 「うん」
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