第6章 北緯三十五度のトラウマ

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昨日はまわりが暗かったからそういうのも恐怖心を煽ってたんだ。 今日はまだ明るいから大丈夫。  あたしは深呼吸して昨日と同じ狭いエレベーターに乗り込んだ。 8を押して誰もいないエレベーターの隅にうずくまる。  気持ち悪い。 ぎゅっと力を入れて自分の身体を抱く。 耐えられる。 大丈夫。 頭が重い。 昨日と同じようにすぐそばにある駅の方角から電車がホームに滑り込む音がする。 昨日と同じ……違う。 あの日と同じ、電車の振動……。
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