第1章 午前八時の三角定規

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 リカが隣に来てあたしの肩を自分のほうに守るように引き寄せる。 「もーお前は彼氏の俺と、瑠璃のどっちが大事なんだよっ!」 「もちろん瑠璃だよ」 「なんだとぉー」  だめだー。あたしのせいでこの二人、喧嘩になっちゃうよ。 「……帰ります」 「瑠璃平気? あたし送ってこうか? 歩き方ロボットみたいだよ」 「何言ってんのよ。洋平がいるんだよリカ」 「もう解凍されたみてーだからほっとけリカ。ったく今年で十六だぞ瑠璃。少しは男のことも知らなきゃ世界が広がらないし成長しねーぞ」  ……どっかで聞いたセリフ、と思いながらあたしはよろよろと席をたった。
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