第1章 午前八時の三角定規

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◇  今日は早く帰って来たお父さんと、お母さんと三人で夕食を終え、後で食べようね、と約束してたもみじ亭のシフォンケーキを味もわからないままかっこんで、あたしは早々に二階の自分の部屋に引っ込んだ。 「意識がこれに向いちゃってんだよね、全部」  高校入学を機に、やーっとやっと変えてもらったスマホでライン画面を開く。 アキ、二人でデートなんて絶対納得しないよね?  リカと洋平の話は、ぜんぜん半信半疑なんかじゃなく、いいとこ一信九疑なんですけど。  あたしはラインでアキに、 「あのさ、アキ、麻衣子ちゃんと二人で出かけるとかだったらやっぱヤだよね? あたしいたほうがいいよね?」
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