第1章 午前八時の三角定規

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◇  それから三日後の日曜日、あたしは三日前と同じ場所、同じ体勢で両手で携帯を持ち、同じように画面を凝視してる。 「へぇ、こういうヤツだったんだ」  その画面上に、なんの存在感もなく、会話の流れの最後にぽっかり浮かんでいる文字―つきあうことになったわ、しらいと―に怒り寄りの戸惑いが湧き上がる。  マジですか?  あのアキに彼女……。 しかもあたしが知らなかっただけで、どうやらこれが初めての彼女じゃないらしい。 「チャラいっ!」  あたしは携帯をベッドの足元のほうにパシっと放り投げて、自分もそこに仰向けに転がった。
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