第1章 午前八時の三角定規

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夏休み明けの新学期に似てるのかもしれない。 メンバーも教室も変わってないのに、久々の学校に浮き立つ気持ちや、反対に自堕落生活に慣れた体があげる悲鳴に混ざって、かすかな違和感を感じる。 でもその正体が何なのかはわからない。  アキに彼女ができた、っていうのは決定的な今までとの違いだけど、そういうことじゃない。 アキがこんなにあっさり女の子とつき合い始める子だったってことをあたしは知らなかった。 あたしの知ってるアキじゃなくなっちゃったような気がするんだ。  でも幼なじみに彼女ができるってこういうものなのかな。 新学期の違和感が、ほんの短い時間で新しい空気に溶けていくように、いままであたしが知らなかったアキの一面も、案外簡単に受け入れられるものなのかもしれない。 「アキも、そうだったのかな」
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