プロローグ

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「宮萩、葛桐、椎倉、中水流兄弟、暫らく出ていて貰っていいか?」 謎の視線を僕に向けていた会長さんは、他の生徒会メンバーにそう言いながら、僕から目線を逸らそうとしない。 それを彼が怒っているのだと納得したらしい彼等はちらちらと僕を見て何か言いたそうにしながら、結局何も言わずに出て行った。 生徒会室には、悲しかな僕と会長の二人だけ。 第一発声で何を言うのかな、と思っていれば、たっぷり時間をかけて彼は口を開く。 「……何故制裁をした?」 期待させるだけさせておいてそれとは、正直期待はずれも良いところだ。 呆れたというか失望した視線を会長に向けるわけにもいかず、僕は笑顔を作ってそれに答える。 「何故、と言われましても。規則を破った生徒に躾を施しただけですが」 「……躾?」 「ええ、躾。僕達生徒会親衛隊はあなた方生徒会様方の為に存在しております、なので僕達の仕事は生徒会様方のお手伝い。…しかし、稀に居るんですよね。少しお声を掛けて頂いただけで自分が特別だと勘違いする生徒が。制裁はそういう調子に乗った生徒にお灸を据えるために行われるものです」 「……そういう、意味じゃない…」 会長様の質問に戸惑うことなく答えられるよう努力をしていたのだが、どうやら彼が聞きたいことは違うらしい。 どこか何かを堪えるようにしているその様子に、僕はこてん、と小首を傾げた。 …自分のことながら、あざとい。 「では、どういう意味でしょう?」 そう問い返せば、睨むように僕を見る会長様。その目が懇願するものであるように見えるのは、気のせいではない。 「……っだから、それはっ!!」 言わなくても解っているだろう。と、その目は語っている。けれどそれは余りにも勝手だ。解っていても僕は言われたわけではないのだ、責任なんて生まれやしない。 ……言わせたいなら、言わないと。 「っ悠生!!」 「―――――――はい、何でしょう煌様?」 ……例え相手が旧知の幼馴染だとしても、ね。
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