第1章

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クリスマスイヴのお昼。 ここは夢見商店街の中にある喫茶店【Good harvest/グッドハーベスト】 ドアが開き銅製の【稲穂】が控え目に音を奏でる。 「いらっしゃいませ」 普段キッチンに居ることが多いいなほが、カウンター内で接客をしていた。 「こんにちは。みきちゃん」 「こんにちは。いなほ君、ケーキ取りに来たぁ~」 近くの住宅街に住む幼稚園生の女の子が、グッドハーベストに元気一杯に挨拶する。 いなほは、12月に入ると限定ではあるがクリスマスケーキを作っている。 そのうちの1個を、女の子が受け取りに来たのだ。 「こんにちは。いなほ君」 女の子のお母さんもいなほに挨拶する。 「こんにちは。ケーキ出来てますよ」 キッチンの冷蔵庫から白い箱を取り出す。 「わ~い!ケーキ!ケーキ」 女の子の髪を飾る可愛らしいリボンが揺れる。 「重いからお母さんに持って貰おうね」 女の子に優しく笑いかけるいなほ。 その笑顔に女の子が真っ赤になり無言で俯いた。 それを見た母親は 「みきは、いなほ君の事大好きなのよね~」 と、いなほに告げ口した。 .
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