20人が本棚に入れています
本棚に追加
クリスマスイヴのお昼。
ここは夢見商店街の中にある喫茶店【Good harvest/グッドハーベスト】
ドアが開き銅製の【稲穂】が控え目に音を奏でる。
「いらっしゃいませ」
普段キッチンに居ることが多いいなほが、カウンター内で接客をしていた。
「こんにちは。みきちゃん」
「こんにちは。いなほ君、ケーキ取りに来たぁ~」
近くの住宅街に住む幼稚園生の女の子が、グッドハーベストに元気一杯に挨拶する。
いなほは、12月に入ると限定ではあるがクリスマスケーキを作っている。
そのうちの1個を、女の子が受け取りに来たのだ。
「こんにちは。いなほ君」
女の子のお母さんもいなほに挨拶する。
「こんにちは。ケーキ出来てますよ」
キッチンの冷蔵庫から白い箱を取り出す。
「わ~い!ケーキ!ケーキ」
女の子の髪を飾る可愛らしいリボンが揺れる。
「重いからお母さんに持って貰おうね」
女の子に優しく笑いかけるいなほ。
その笑顔に女の子が真っ赤になり無言で俯いた。
それを見た母親は
「みきは、いなほ君の事大好きなのよね~」
と、いなほに告げ口した。
.
最初のコメントを投稿しよう!