アインス=ヒアインにて

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「授業が終わってしまえば、夕食後までアースト氏はお嬢様に付きっきりになると、事前の行動調査で分かっていたので」 「いやそれはそれとしてだな、カタリナお前、アーストとしてここ来てたのか?」 「はい。四日ほど前に」 「そーいやお前いなかったか…でもその前からちょくちょくいなくなってたしな…くっそ気付かなかった」 『しつじ、いつもどおりでかかったけど。どやってのばしたの?ばいはあるじゃ』 「倍も違いません。せめて1.5倍です。次言ったらあなたの会話手段を消します」 『…あい』 「アースト氏のような目立つ人は、特徴さえつかめば変装はそこまで難しくありません。むしろ、メイドやボーイなどの無個性ながら毎日顔を合わせる人たちの方が難しかったです」 「ボーイ?んなのやってたか?」 「ああ、先程一つ言い忘れていましたが、マリーナ嬢の昼食の際、ボーイに扮してマリーナ嬢の皿に食欲を減退させる香辛料を混ぜました。マリーナ嬢が食べないという所を御両親に見せつければ、晩餐会の欠席に十分な理由になると思ったので」 『ホワイ?』 「自分の知識は所詮付け焼き刃なので。対象の対外的な印象をトレースすることは出来ても、奥底の教養のようなものを再現するには技術が足りませんでした」
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