調査報告書㊙

6/9
前へ
/13ページ
次へ
15:30 手芸 教養を身につける授業の一環。お茶をたしなみつつ、靴下に刺繍をあしらう。 講師は、執事が兼任する。 「貴方の気に入らないところはね、そんな大きい図体してるのに、お茶を入れるのも刺繍も私よりずっと上手なところ」 「執事ですから」 対象は、技術はある程度身に付けているものの、それを奇抜なデザインで自ら帳消しにしている。 「お嬢様、その文様は…」 「スライムよ。右足に一個、左足には七個縫い付けてあるのがポイントなの♪」 「ああ、両方あわせるとキングなスライムに…って履かせるかそんなもん!!」 「だめ…?」 「駄目にきまってるでしょう。晩餐会どころかそれを履いて外出するのもアウトです。ほどいて下さい」 「ちぇー。…ところでアーストは何を縫っているの?」 「お嬢様のドレスにレースを。流石にお嬢様のお年で装飾が一切無いドレスは、ハードルが高いでしょう」 「素材で勝負できてないって意味だったら刺すから」 「何とでも」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加