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16:30 自習
通常は今日習ったことのおさらいをするが、今日は晩餐会の支度をする時間に。
入浴、洗髪の後、礼服に着替え、髪を整え、装飾品を選び身につける。
「おじょー様ー、着替えはお済みですかー?はいりますよー…あら?」
「グラナダス様、お嬢様が」
「逃げましたか、了解です」
浴室の窓から脱走したと思われる。
執事が捜索に当たる。日常茶飯事らしく、彼の能力を使う様子も見られない。
「また、ここから脱柵ですか。今日は間に合いました」
裏庭の、古びた柵の破れ目がいつもの脱出経路である。
「どうして、そんなに今回の晩餐会を嫌がられるのですか?」
「…」早々に逃げることは諦めたようだが、体育座りのまま動こうとしない。
「旦那様が方々で約束してくる婚約話なんて、いつも半分がた冗談でしょう。これまでもよくあったことではないですか」
「…」
「理由を仰って下さらないと、お取りなしもできかねますよ」
「…ディナーイマイチそうだから」
「お嬢様」
「……怖いの。大人になってしまうことが」
「…詳しく、話していただけますか?ゆっくりで、かまいませんから」
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