第1章 アーサーとアレックス

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ルイザス=エレント王国 カナエ村 北地区 AM 7時30分 この国の中でも比較的小さい部類に入る村 カナエ村 彼はここで生まれ、そして育った。 人々が行き交う中、鮮やかな金色の髪が目を引いた。 「アレックス~」 その金色の髪の主である少年 アーサー・マンスフィールドは、元気な声音で 前方にいる少女へと抱きついた。 「おはようアーサー」 さして驚いた様子もなく抱きつかれた少女 『アレックス』こと 『アレクサンドラ・マクファーレン』は彼に挨拶をした。 「おはよう! 今日は何を教えてくれるの?」 アーサーは笑顔のままアレックスに問いかける。 年は離れているが2人は幼馴染である。 「悪いな。今日の勉強会はナシだ。」 「え~? なんで~?」 申し訳なさそうに謝るアレックスに対し、突然楽しみにしていた勉強会を中止にされたアーサーからは、不満そうな声が上がった。 「城に行かなきゃ行けないんだよ」 「え? お城に?」 アレックスが訳を言うと、今度はアーサーの表情が曇った。 この国では兄や姉がいる場合 上の者が勉強を教えるのが一般的だ。 しかし、アーサーの場合 兄であるアンドリューは若くして王国大臣の補佐官という任に就いていた。 王宮に務める者は皆、大抵は住み込みで働くこととなる。 王都からカナエ村までは決して帰って来られない程の距離ではない。 しかし、気軽に帰って来られる程近い訳でもない。 馬車を使っても最低で1日~半日はかかってしまうし、魔法を使えば一瞬だが、一般人の部類の アンドリューにはそんな簡単に魔法は使えない。 『学術区』と呼ばれる学校のような、学問や剣術を学べる場所はあるが、基本的に魔法は資質がなければ使えない為、一般の生徒には教えていない。 それにこの学術区に通うには莫大な費用がかかる。 一般家庭から通わせるには、あまりにも高額で、せいぜい長兄や長姉が限度だ。
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