第1章 アーサーとアレックス

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カナエ村は東西南北の地区に分けられているが、東西地区は比較的裕福な地区である。 逆に南北地区は貧困層が多く、特に北地区には出稼ぎの為、王都で王宮勤めを している人々の親族が多い。 そんな北地区に住むアレックスだが、知識だけで円卓の騎士まで登り詰めた訳 ではない。 彼女が騎士になった当時、初の女性騎士ということもあり、風当たりも相当 強かった。 しかし彼女はそれに負けることなく、実力で功績を上げ、決め手となったのは 4年前の事件だった。 口だけではない。 非難にも負けなかった強い精神は、それまで彼女が騎士になったことに反対していた人々の心も動かした。 そして、その腕前はかつて共に戦った、本来なら彼女が王になった際に、 彼女だけの騎士になるはずだった 『紳』の称号ボールスを持つ 『セキルイ・オールストン』こと『セキ』と共に2大英雄と言われている。 しかして、アレックスの姿は屈強な戦士のような姿ではない。 前述した通り、華奢な体型をしており美しい焦げ茶色の髪は三つ編みに結われている。 服装は年頃の少女が着るには些か質素にも思えるが、王国騎士用の規定服を女性用に仕立て直したモノだ。 もっとも、アレックス本人は、動きやすさを重視しているので、服装に関しては特に不満は無いらしい。 そして腰には2振の剣を携えている。 1つは父から受け継いだ愛剣 オーディン。 もう1つは 次期国王の騎士たる者が持つことを許された剣 カリブルヌス。 しかし、未だに次期国王は現れていない。 そして、次期国王の騎士でもあるアレックスが、カリブルヌスと出会ったのは 8年程前まで遡ることとなる。
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