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朝になっても戻って来ないし、また何の『連絡』も入ってこないから、恐らくまだ『双方ともに生きている』のだろう。
けれど。それは、すなわち『土方暗殺』の密命が、果たされなかった、と言うこと。
夜
(………まさか、宵が『仕損じる』とは、ね。『記憶が戻った』と言うわけでも、ないだろうに………。)
―だって。宵の『記憶』が戻るはずがない―
それだけは、あり得ない。あってはならないことなのだから。と、その時だった …………………
―バターンッ
??
「兄貴!宵が戻って来な……………って、何やってんだよッッ?!」
けたたましい音とともに、扉が開け放たれた。飛び込んできたのは、宵と同じ、夜配下の『四天王』の一人であり、夜の実弟でもある『暁(アキ)』だった。
突然の乱入者に、飛び上がるほど驚いた少年は、脱ぎ捨てられたままの着物を掴むと、開け放たれたままの扉から飛び出し、脱兎の如く逃げて行った。
夜
「………全く。『無粋』だな、暁。人の『情事』を見るのが趣味か?」
暁
「そんなわけないだろ。宵が帰ってこないって聞いた。なのに、何で『侍従』なんか抱いてやがんだよっ?!」
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