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灰海昇(はいうみ のぼる)は不治の病とされた。
高校2年生の秋ごろから体調が著しく変化していった。
最初は季節の変わり目なので、風邪でも引いたのか?と思っていたにすぎなった。
が、冬にかけて気力、手足に力が入りにくくなる、そして意識を落とす、と言う感じに変化していった。
意識を落とすことに関しては、1日の中でランダムに起こってしまい、数時間は目を覚まさないほど酷かった。
そして高校3年の春、彼は病院で新学期を迎えることとなってしまった。
1日をベッドの上で暮らすことにはすっかり慣れてしまったが、元々スポーツが得意だったのでそれだけが残念と、看護婦に漏らしたことがある。
手足に力が入りにくくなったのは、痺れが原因らしい。
全く動かないとは言えないが、今は最小限のことしかできなくなってしまった。
気力はなくなってしまい、窓の方をぼっーと見つめることが多くなった。
そのとき、彼は何かに引っ張られる感じに襲われているらしく、それが何なのかは医者さえも分かっていない。
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