第1章

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倉庫は中もすごいことになってた。 前に来た時にはなかった真新しいソファセットに、クリスマスの置物。 極め付けはLUNAでかかってたような音楽までかかってる。 呆れかえって眺めていれば、今度は二階から声がかかった。 「ラン」 見れば、安っぽいトタン製の階段の上に、一宮がいる。 「上来い」 「は? 何で」 「姫は上に来る権利がある」 倉庫二階には総長室と幹部用の部屋しかない。 そしてそこは族の変なプライドがあってか、総長・幹部とその女以外立ち入り禁止。 付き合ってた時はすごく行きたかったけど、お呼びすらかからなかった場所だ。 でも、私はもう一宮の彼女じゃない。 事情が事情だからここに来ることは了承したけど、総長の女代わりになる気もない。 統也の奥さんだ。 それははっきりさせておきたい。 「行かない。 組の護衛さんに負担かけないために倉庫には来るけど、私は一宮の彼女でも姫でもないの。 そこの奥のソファー借りるね。 時間までそこにいさせてくれたらいいから、私はいないものとしていつも通りの活動してて」 一気にまくしたてるようにそれだけ言って、昔の居場所だった奥のソファーに陣取った。
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