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倉庫は中もすごいことになってた。
前に来た時にはなかった真新しいソファセットに、クリスマスの置物。
極め付けはLUNAでかかってたような音楽までかかってる。
呆れかえって眺めていれば、今度は二階から声がかかった。
「ラン」
見れば、安っぽいトタン製の階段の上に、一宮がいる。
「上来い」
「は? 何で」
「姫は上に来る権利がある」
倉庫二階には総長室と幹部用の部屋しかない。
そしてそこは族の変なプライドがあってか、総長・幹部とその女以外立ち入り禁止。
付き合ってた時はすごく行きたかったけど、お呼びすらかからなかった場所だ。
でも、私はもう一宮の彼女じゃない。
事情が事情だからここに来ることは了承したけど、総長の女代わりになる気もない。
統也の奥さんだ。
それははっきりさせておきたい。
「行かない。
組の護衛さんに負担かけないために倉庫には来るけど、私は一宮の彼女でも姫でもないの。
そこの奥のソファー借りるね。
時間までそこにいさせてくれたらいいから、私はいないものとしていつも通りの活動してて」
一気にまくしたてるようにそれだけ言って、昔の居場所だった奥のソファーに陣取った。
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