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【一宮side】
「あ?」
突然の声に振り向けば、ランはテーブルに腕をつき、冷え切った目でこちらを見ていた。
「山田って前にパクられたあいつでしょ?」
「知ってんのか」
山田は確かに暴行でしょっぴかれたことがあった。
ただ、証拠不十分ですぐに釈放された筈。
普通は知らねえ。
「私を誰だと思ってんのよ。
裏センターでは有名だったし、警察も目つけてるわよ。
アイツ、多分あんた達が思ってる以上に危険よ」
「は? 俺らが思ってる以上にって?」
ランの言葉に英治が眉間に皺を寄せた。
英治の情報網は半端じゃねえ。
俺らが掴んでない情報をランが知ってるわけねえ。
そう思ったのに……。
「捕まった後、この辺離れて繁華街で売人やって荒稼ぎしてたみたい。
金のためなら何でもやるし、キレたら手つけられないってさ。
それに知ってた?
アイツ、何人も女の子壊してる。
言葉巧みに誘って、壊して、すぐにポイ。
水に沈められた子が何人いるか、わかったもんじゃない。
それなのに、その子見捨てる気?」
ランは静かに言い放った。
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