第1章

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要件はそれで終わりかと思って、今度こそ隣の部屋に向かおうとした。 だけど二人はどく気配がない。 それどころか、何故かついてくる。 「……何?」 低い声で尋ねれば、一宮が気まずそうに口を開いた。 「いや……どこか行くのか?」 「冷蔵庫空だもん。買い出し」 「夕飯か?」 「そう」 「……俺達の部屋の冷蔵庫も空だ」 「食べ物まで用意する時間なかったみたいだからね。 この近く、お店多いから後で買ってきてもらうか出前とるかしたら?」 そう返すと、一宮はそれきりまたこちらを伺うように黙りこんだ。 何か言いたいならはっきり言えばいいのに、まどろっこしい。 「用がないなら行くから。 たまり場は明日からでいいでしょ?」 二人を振り切るように、護衛の組員さん達がいる部屋へ入った。
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