第1章

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「うん、完成」 出来上がった自分の姿を姿見で確認して、頷いた。 久しぶりのフルメイク。 少し時間がかかったけど、満足いく出来だ。 でも昔、倉庫に行く時にはもっと時間がかかってた。 少しでも一宮に好かれたくて、チークもアイシャドウの色合いを何十分も試行錯誤した。 金色だった髪も一時間くらいかけて巻いてたっけ。 あまりの変わりように、高校が違う龍皇のメンバーは戸惑うかもしれない。 だけど、前と違って黒髪のナチュラルメイクだけど、ちゃんと綺麗。 寧ろ統也に出会ってからツヤを増してる気がするから、一宮と付き合っていた時よりイイかもしれない。 それに統也に買ってもらった蒼のニットと茶色のライダースジャケットを着て、昨日商店街で買った黒のスキニーパンツを履けば準備完了。 倉庫に合わせた、動きやすいかっこいいスタイル。 これで、馬鹿にされることはない筈。 「亜紀ー! もう行けるよー!」 「おー……って戦闘態勢だな!」 「当然!」 亜紀に笑いかけて、組員さんが運転する普通車に乗りこんだ。
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