学び舎に降る血の雨

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* 「オーケー上等だ、カッターナイフのサビにしてくれる」 「はっ、寝言は寝て言えよ。ホッチキスでその口閉じてやる」 「やめなさーいっ!!」 有栖川君は有栖川さんと対峙する。意識の外でうざったい声が聞こえた気がするが対峙するったら対峙するのだ。 都市伝説にドッペルゲンガーというものがある。自分とそっくりなもう一人の自分がいて話によって違いはあるがドッペルゲンガーに会ってしまうと殺されたり乗っ取られたりしてしまう、という類の話だ。 それは都市伝説だけれども実際目の前に全く同じ人間が居るとどうなるだろう? 一卵性双生児とかそんな次元の話ではない。DNAレベルで全く同じ彼らですら環境によって違う人間になる。双子だからやっぱり一人の男を取り合ったんだってーという話をあまり聞いたことはないのだからやはり彼らは違う人間なんだろう。そんなのは顔が同じなだけで中身が違うのだから当然だ。 では中身が同じならどうだろう? 自分大好き!な『はぅ~』とか言っちゃう系女子の目の前に全く同じ中身の人間が現れたとしよう。恐らくだが彼女は本性を曝け出し、その存在をなじるだろう。所謂同族嫌悪という奴だ。 自分が大好き!ですらそうなのに 自分が大嫌い!ならば言うまでもなく………… 「ぐぬぬ…………」 「くっ………」 こうなる。 有栖川君と有栖川さんは激しい攻防の末、手持ちの武器を落とし今は徒手空拳で掴み合っていた。 二人の力は全くの互角、悲しいことに有栖川君は男子にしては力が弱くて有栖川さんは女子にしては力が強いのだ。 俺、『有栖川日向』と目の前の『有栖川日向』はお互いがお互いに睨み合い、言葉を吐き捨てる。 『さっさと死ね!』
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