学び舎に降る血の雨

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……………。 色んなことが頭の中を駆け回る。その思考を言葉にすることができないほど漠然とした考えとか思考とかそういう類のものだが、その頭が結論として出したのは至極当然で分かりやすいものだった。 『帰ります』 「えー! 僕は君達と世間話するために特に肌寒くもなく暑くもないこの時期の夜にわざわざ校門に立ってたんだよ?」 面倒な話し方する人だな。二人揃って発した同じ言葉にわざとそんな話し方をしているのか、回りくどい話し方で青髪──いやさっき名前聞いたな、なんだっけ? まあいいや。 結論、変な人について行くのはやめましょう。小学生でも知ってる教訓が生きるとは人生何が起きるかわからないな。 「すいません本当に警察呼びますよ?」 「警察呼ぶってその後の事後処理の面倒臭さ知ってるのかい? カツ丼出ると思ったら大間違いなんだぜ」 「はあ、そうですか」 「お前と話してるよりはましだと思うよ」 「そんな酷い! 僕と君達の仲じゃないか! あ、今さっき会ったばっかだろ、ってツッコミ入れるとこだよ?」 気の無い返事で適当に相手しているが自分達の足はゆっくりと歩き出した。当然前方にいる青髪に近づくことになるんだがこの際どうでもいい。もはや相手する気がしない。 相手と自分達とはそれなりに距離が開いたがゆっくりとその距離が近づいて行く。 「──いいね、さっきまでの君達は退屈だったから。今のがまだマシだ」 「そうか?」 「今の方が退屈な顔してると思いますけど」 「それは君達主観だろ? 僕主観の話でだよ」 『あ、そ』 遂に青髪のところまでたどり着き自分達の間にそれをくぐらせるように通り抜ける。 「それにその退屈そうな顔は僕が剥ぎ取ってあげるよ」 足を止めずにそのまま通り抜ける。通り抜けざまに掛けられた言葉にはもう返事すらすることはない。 もう会うことはないだろうし多分明日の朝には忘れてるだろう。せいぜい変な人に会ったってことくらいか。 「『また明日ね!』」 そんな言葉は聞こえなかった。
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