学び舎に降る血の雨

6/22
前へ
/28ページ
次へ
顔を伏せ、プルプル震える花ちゃん先生を怪訝な顔で見つめる。 するとき突然勢いよく顔を上げ、 「それだよ!それ!」 『っ……!』 高らかに自分達に人差し指を突きつけて宣言した。そのあまりの勢いに思わず方を跳ねあげて驚いてしまう。 「それだよ君達は!口を開ければバイトバイトバイトバイトバイトバイトバイトバイトバイトバイトっ!!高校生とはなんだ!学生の本分はなんだ!はい有栖川君!」 「え、あ、勉強です」 急に何が地雷だったのか爆発した花ちゃんに引きながらとりあえず当たり障りのない答えを返す。だが── 「違う!勉強なんて社会に出て何の役にも立たない!オール1だった私が社会人やってんだから間違いないよ!!」 ダメな方向に思いっきりベクトル振った自信満々の答えで一蹴された。オール1とか卒業出来たのかよって思ったがまあ出来たんだろうきっと。 ガキっぽく椅子の上にスリッパのまま立ち上がる花ちゃん先生。短いタイトスカートの裾から…………。 「……何かな有栖川さん?」 「死んでくださいお願いですから」 いつも向けられる虫をみるような目ではなくむしろ自分の後ろの壁にピントを合わせたような目を向けられた。 したり顔で僕らは同じ人間だ!みたいなこと言ったがことこういう話に限ってはしょうがない『有栖川日向』という一個人の話ではないのだから。なんとかの犬という奴だ、これは性格でもなんでもなく男子高校生という生き物の遺伝子に刻み込まれた行動だ。ならばそれを悪と断ずるのは如何なものか、赤信号みんなで渡ればではないがその『悪』とされる絶対量が多いならばそれはもはやその社会のルールであり『悪』=反社会と個人の物差しで切り捨てることはできないと思うのだ。 つまり以上の点から有栖川君は悪くない、悪くない。理解しない有栖川さんが悪いわー、マジ最悪だわー。 「────みたいなことを思い描いてるんだろうな。死ねばいいのに」 ……やっぱり『有栖川日向』は同じ人間だと思う。男女の差で思考の違いはたまにはあるが自分ももし自分が有栖川さんなら、と思い浮かべれば何を考えているかは分かるのだから。ちょうど今の彼女と同じように。 やっぱ死ねよ有栖川さん。そして今すぐ自殺して消え失せろ有栖川君。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加