金曜日の夜、天文台で。

夜の天文台

そんな薄着、と彼はいったけれど、私はこの季節の服装としてはごくごく一般的な格好をしている。
グレーのウールのコート、その下にはセーターを着て、ボトムはベルベットのスカート、足元はスウェードのブーツ。
仕事に行くときはきっと世の働く女子はこんな格好だろうし、街中にいる分には何も問題ない。
一方彼はしっかりした素材感の鮮やかな緑のウィンドブレーカーを着ていた胸元についているロゴは有名なアウトドアブランドのものだった。
ボトムも黒で目立たなかったが似たような素材に見えた。
街中でデートするには、私的にはアウト。

「でも、好きなんですよね？星」

そういった彼は少し嬉しそうなはにかんだ笑みを見せた。
…あ、なんかちょっと良い笑顔かも。

「まぁ…一応、好きです」

コンビニの前で交わした会話はこんな感じだった。