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――朝、七時五十分。
毎朝の日課は、消えてしまいました。
ずらした時間は弱さでしょうか、重い瞼が視界を狭くし光の場所を隠します。
どうしてでしょう、昨日たくさん泣いたのに、蕾は落ちて消えたのに。
まだ、私の想いは残ったまま。
お日様にはもう逢えません。
茎はいずれ折れるのでしょうか、葉はいつか落ちるのでしょうか。
花はもう咲けないから、実はもう、生まれないから。
ならこの想いも、いっそ枯れて消えてくれれば楽なのに。
あなたを想った何倍の時が、あなたを忘れる為に必要なのか。
ぽつりぽつりと歩く足が、いつもの日課の場所にさしかかる。
この道を、笑って通れるまであと何度……。
俯いて、足下だけ見て進みます。
毎日のドキドキは、今日からズキズキに変わります。
一歩、また一歩。
幸せだった場所から逃げるように。
「おい」
……。
突然の出来事に、予想外なこの今に。
「……おい、ちゃんと顔上げて歩いて」
「……」
もう、足が一歩も動かせません。
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