第3章 チーム

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
ついにランク戦当日を迎えた。彼方は昨日1日マッスル中山と訓練をしたが、必殺技のきっかけになりそうなものはあったが完成までには至らなかった。 「それじゃあ私たちは控え室に行ってくるから、彼方と先生はしっかり応援しててね」 奏たちはそう言って控え室へと向かい、彼方と青山先生は観客席へと向かった。 「1番前に座れるんですね」 ランクはS,A,B,C,D,E,Fの順で高く、学園に入ったばかりの1-CはFランクだ。上位同士のランク戦なら観客も多いが、低ランク同では観客などほとんどいない。いるのは両チームの関係者か新人の中に逸材がいないか調べる教師くらいだ。 「先生は、今回うちのチームが勝てると思いますか?」 入ったばかりの彼方はメンバーの実力を把握しきっていないため想像できないが先生ならわかるのではないかと思い質問した。 「相手のチームはリーダーが強力だがやつを攻略できれば問題ないだろう。個人の能力もうちの方が優秀だろうしな」 「じゃあ問題なく勝てそうですね。作戦会議でもみんな自分の役割をわかっているみたいでしたし」 先生の答えは高評価だった。役割もしっかりわかってるみんなのことだ、よほどのアクシデントがない限り負けないだろう。 「だが、チーム戦の勝敗となれば話は別だ。あいつらは今回も負けるだろう」 「え? ですがさっきは実力は上だと...それと、今回〝も〟とは?」 実力が勝っているのに負けることなんてそんなにあることなのだろうか、と彼方の頭は大量の疑問符に占領されていた。 「言った通りだ。金切はあいつらの、今までのランク戦の結果を知っているか?」 「いえ、知りません...」 「3戦3敗だ。どれも個人の実力では負けていなかった」 全敗。それも全て実力は勝っていたのに。 「どうしてそんなことが...」 「金切はチーム戦において1番大事なことはなんだと思う?」 「チーム戦において...連携の仕方、ですか?」 「その通りだ」 どんな競技でもチームとなれば連携は大事になるが、あのメンバーならそんなことはたやすくできそうだと思う。 「ですが、役割をきちんとわかった上で動いているのにそう簡単に乱れるものなんですか?」 「もうすぐ試合が始まる、答えは自分の目で確かめてみるんだな。入ったばかりの金切でも解るだろう」 そう言った直後に試合が始まり、彼方は視線を試合へと向けた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!