求愛サイン

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メモを取っていたテスト範囲をレオに伝えて、二人で教科書を囲んだ。 今まで敵だったこいつと、肩を並べて勉強なんて、人生何が起こるか分からない。 それに今、オレはレオと付き合ってるんだ。 家デート。 テスト勉強デートだって、素敵なデートじゃないか。 シャーペンを片手に、レオを見つめてそんなことを思った。 テスト勉強を始めて、40分くらい経ったときのことだった。 レオが、手に持っていたシャーペンをテーブルに置いた。 そうして無表情な顔のまま、オレと向き合う。 「?」と小さく首を傾げると、その強気な瞳がオレの顔へと近づいた。 「―――!」 そうして、ちゅっと唇が触れ合う。 こいつの好きなコーヒーに味がほのかに香った。 「……え…!? なんで…っ」 「休憩。」 「まだ始めて40分なのに!?」 「友はまだ勉強したい?」 「……っ…!!」 甘い吐息が頬を掠める。 そうなると心臓が早く脈打ちだして、もう全てが飛んでしまう。 ちゅ、と頬に触れる唇。 レオが身を乗り出すように、オレの足元に手を置いた。 逃げようにも、逃げられない。 テーブルとベッドの間に、がっちり嵌まっているのはオレだ。 「……ん…っ…!」 触れるか触れないかのキスが、少し深くなる。 こうなるともう駄目だ。 もっとレオに、触れて欲しくなる。 そのまま後ろに倒された。 すぐ横にはベッドがあるってのに、このド変態! 夏用のラグマットの上、倒された体。 すでに何かを期待するように、胸は高鳴るばかり。 さらりと落ちるその綺麗な黒色の髪が、ますますオレの心を揺さぶった。 頬に落ちる髪が、いつもよりもレオを幼く見せた。 その奥に光る瞳は、強くて美しい。 その瞳に見つめられいるのが、オレだけだと感じると、それは説明しがたい感情を誘った。 …ゾクゾクする。 「昨日の続き、していい?」 「…んゎ…!?」 口に指を入れられて問われても、嫌とは言えない。 「んん…!!」 恥ずかしくてギュッと目をつぶった。 嫌なはずない。 ただ少し、恥ずかしいだけ。
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