800人が本棚に入れています
本棚に追加
「だからお前もホントのこと、言っていいよ」
「――――!!!!」
言葉にならないほど、想いが溢れてきた。
好きで、好きで好きで好きで。
もうどうしようもないくらい。
いつもスカしたこいつが、オレと同じくらい緊張して、怖いと思っている。
それが分かると、なんだか一気に安心した。
怖いのはオレと一緒。
ドキドキしてはち切れそうなのもオレと一緒。
それが分かって、自然と瞳が結ばれる。
自分でも気づかぬうちにオレは倉森に微笑みを零していた。
「…ホントはちょっと……怖いと思ってる。…痛いのかな、とか……も心配してる。だけど………」
「…………だけど?」
「……、…お前と一緒ならそれも全部幸せだって思える。お前と結ばれるなら、それもいいな…って。ホント、……大す……―――…!!」
そう、言い終わらぬうちに倉森にギュッと抱きしめられた。
「……っ!!!」
想像していたよりも、それはずっと切なくて。
痛くて。
でも、その痛みさえも愛おしいと感じる自分がいて。
それが嬉しくて、言葉にならなくて。
だけどその変わりに涙が出ていた。
「……っ、っ」
幸せ。
でも痛い。
痛い。
でも、幸せ。
ギュッと抱きしめられたまま、倉森を感じる。
自分の体内で、倉森を感じられる。
「………キツ…っ…」
耳元で溢れるその声。
愛おしくて、体の中がキュンと切なくて。
ゆっくりと分け入る熱がただ、愛おしくて。
ただそれだけを感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!