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恋愛は予測不可能だ。
キライが好きに変わる瞬間なんて、ほんのささいなきっかけが1つ転がっていただけ、なんてこと、ザラにあるのかもしれない。
ただ1つ思うのは、キライという感情が大きかった場合。
大好きに変わるのは一瞬なのではないのか、ということ。
大キライから大好きに変わるなんて一瞬だ。
それはオレ自身が経験している。
レオのこと、キライでキライで仕方なかった。
なのにいつの間にか、いなくなられちゃ困るくらい、好きで好きで仕方なくなっている。
意地悪な微笑みや、なんでも見透かしているその強気な瞳や…。
多分だけど、いつでもオレを見てくれているところ。
いつ、どんな時に、って説明しろって言われたら困るけど、なんとなく感じる。
意地悪だけど、いつも傍にいてくれる。
それをちゃんと分かっている。
…ま、大好きなのはオレの方が大きいと思うんだけどね。
慌てるのはオレだけだし。
レオはいつも余裕しゃくしゃくだし。
今、保健室で見た葵の態度を説明しているうちに、いつの間にか保健室の傍から離れていた。
レオに促されて一緒に校舎を出る。
レオと一緒に片付けをする。
そして気がつけば、鞄を持って校門を出ていた。
「ハッ…!葵…!!」
「友の話を聞く限りでは、邪魔、しない方がいいんじゃない?」
「邪魔!?」
「そ。深崎と西の…いや、深崎の殻が破ける出来事になるかもよ?」
「殻…?」
オレは首を傾げてレオを見たが、レオはそれ以上のことは言わなかった。
だけどオレもどこかで何かを感じていた。
葵の変化をじわじわと、感じ始めていた。
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