求愛サイン

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「え…」 それと同時に、目の前のテーブルに広がっていたソレを見て、ぱちくりと瞬きする。 そこに置かれたいたものは……。 「何で教科書ぉ…!?」 「体育祭終わったら期末だし。いつものお前なら、始めるはずだろ?勉強」 「う…。それは、そう、だけど…」 デートだと喜んでいたのに、まさかの勉強会だった。 と、ここまで思って、あることに気がつく。 「お前が…勉強とかすんのか…!?」 これは意外だった。 オレがマラソンの強化練習をしている時だって、中庭で本を読んでいるような男だったのに。 「普通にするよ。お前に勝つためにね」 「へ…」 「ほら、やんないの?」 レオに促されて、テーブルの前に座った。 レオは飲み物を持ってくる、と言って部屋からいなくなった。 何だかとても意外だった。 もしかして、レオは……オレに負けないために勉強してたのか? 心のどこかで天才タイプかと思っていたけど、もしかして…。 そうじゃなかったのか? 勉強ちゃんとしてたのか。 レオの教科書をパラパラとめくって、ところどころに書いてあるメモに一人感心する。 オレが努力をしていたのと同じように、レオも努力をしていたんだ。 そういう意外な一面を垣間見て、また一つレオに近づけた気がして嬉しくなった。 次はノートを見てみる。 男の字とは思えない、さらっと書かれる文字たち。 年不相応だな。 もっと年上の字に見える。 だけどそんな文字さえも愛おしく感じた。 「ふへへ…」 「ド変態」 「!!」 まさかドアが開いてるなんて気付かずに、オレはそのノートを持ち上げてニマニマしていた。 それを見られてしまった! 「人のノート見てニヤけて…。変なやつ」 レオは鼻で笑って、オレの前にアイスティーのコップを置いた。 「テスト範囲知ってる?」 「えっ、知んないのか!?」 そのくせにテスト勉強しようとか言いだしたのか!?
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