求愛サイン

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陽はまだ高い。 体を隠す闇もない。 だけど全てを脱がされない状況に、吐息とともに鼓動が高鳴っていた。 …もちろん。 いつ、梅吉さんが帰ってくるかも分からない。 だけどそんなスリルに胸が躍っているのは、否定しがたい事実だった。 昨日の続き。 レオのその言葉は、本当だった。 服の下から触れられる体。 全部は脱がさないその姿。 ずらされた下着。 ただそれだけでドキドキする。 大きいその手のひらは、簡単にオレの心臓を掴めてしまいそうだった。 高鳴る鼓動に触れられている。 キスが落ちてくると、夢中になって応えてしまう。 いつからこんな破廉恥な自分になったのか、恥ずかしさも十分あった。 だけどそれ以上に、レオに夢中だった。 焦らされた熱が体の中を侵食する。 レオの指先が触れるだけで、震えるほど体が喜ぶ。 心も荒ぶる。 落としてしまいそうな吐息をどうにか堪えて、レオを感じていた。 「友」 それでもいつものように。 呼ばれる名前に、朦朧とまぶたを持ち上げる。 表情は変わらない。 瞳だって、冷たいまま。 だけどその瞳の奥に何かを優しさを感じて、愛おしさが込み上げてくる。 「れ、お…」と、やっとのことでその名を呼んで、レオへと腕を回した。 この前よりも、昨日よりも、さっきよりも好きだと感じる。 オレの中の好きという気持ちが、どんどんどんどん大きくなる。 このまま好きが増えていったら、オレの体は、心は、どうなっちゃうんだろう。 ギュッと抱きしめた。 硬い身体を、大きな背中を。 レオを好きだという気持ちを。 力いっぱい、抱きしめた。
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