求愛サイン

22/23
801人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
甘美な吐息が、体内で弾けていた。 刻まれる愛の旋律。 震えるのは心だけじゃない。 いつの間にか夢中になってる。 貪るキスと、触れるは唇、手のひら、その瞳。 愛おしさで形成されそうな体をどうにか揺り動かして、レオを見つめた。 レオに見つめられた。 ただそれだけで、再び鼓動は高まって。 このままどうにかなってしまうと、思った。 なじられて甘く溶けた体が、それでもまだ、レオを欲していた。 キュウ…とお腹の辺りが甘く軋む。 このままじゃ、もう…!! 「……ダメだろ。まだ足んない…」 レオが体を持ち上げる。 そのまま抱き上げられて、体勢が変わった。 恥ずかしい体勢にオレはたじろいた。 「ヤ…っ…!恥ずかし…っ」 「何で。友、喜んでる…」 「い、言うな…っ!!」 だけど確実に吐息は上がった。 慣れない体勢がもどかしかった。 それでもくすぶる想いが強く弾けて、夢中になった。 甘い余韻が心を刻む。 愛を刻む。 求愛を誓うように、二人の心にサインした。 愛を刻みこんだ。 ―――思い返せば、この時から。 二人の想いは強く強く絡み合っていた。 もう、抜け出せないくらい。 離れていられないくらい。 それを実感するのは、もう少し後のこと。 今はただ、目の前に転がったこの愛に身を焦がしていた。
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!