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良幸は授業を終えると まだクラブも決まらず さっさと中学校の門を出た。
いつものように帰ろうとすると 前に明利らしき少女がいる。
いつもとちがう!
それも彼女1人!もう回りの景色なんか消えてしまう!良幸は走って 明利を追いこす。
『やっぱり明利さんだ』
良幸はドキドキして
「やあ 家 こっち?」と 声をかけてみた。
彼女は気さくに答えてくれた
「ええ お城の西。あなたは?」
「僕は 駅近くのマンション」
「お城の南ね」
この付近にお城は見えないので 良幸は
「ここにはお城があったの?」と 聞いてみた。
明利は地元の子らしく、よく知っている。
「ええ。黒百合城(くろゆりじょう)よ。今はないわ」
「何で?戦争で 燃えたの?」
「ううん 地震でくずれたの。殿様もなくなって 宝物は持ち去られ 消えた幻の城よ。ほらそこに石垣が残っているでしょ。この並木道は 昔 おほりだったの。川になってて そこに橋がかかってたんだって。今はおほりがうめられて 道になったの。だから道に橋の親柱だけちょっこと残ってるの」
たしかに公園の入口に ふさわしくない古い親柱があり。親柱の上にはチョコンとギボシが乗っている。
明利の話しが無ければ 公園も空き地としか思えない。
「この先に お城があったのよ。雑木林でお城のあとも見えないけど」
明利の説明で遠い昔のお城を想像して見た。
「ふーん。行ってみたいな」
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