第4章 時の空回り

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 再び三日月。セミの声が聞こえ なま暖かい風がふく  遠くから「姫 姫~」と呼ぶ声が聞こえる。 「あ 爺やよ。かくれて」  花姫は良幸と大きな石垣の裏にかくれる。  良幸は過去を思いだした。 『何これ?前と同じことしている!』  時間がからまわりしている?  爺やが現れ 姫を探しているのが見える。  花姫は「シ―」と言って かくれる。 「爺やに見つかる前に 富士丸様に会うの。いやな人なら一生かくれてやる」  爺やは遠のいて行った。  花姫 は生きていた時代の中で からまわりしているのだ。 『大変だ!前と同じことをくり返されてはたまらない』  良幸はあわてて 前とちがうことを考えて言う。 「富士丸さん きっと来るよ」 「来ない方がいいわ」 「え」 「姫は良幸様の方がよいな~」 「だめだよ」  結果は 前と同じ。   からまわり からまわり
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