5人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
明利は ふくみ笑いをして
「石垣しかないわよ。裏側は危ないけど お城だけなら 4時半すぎ 連れてってあげようか?」
なぜ4時半すぎなのかは分からないが、良幸は 明利と友だちになりたくて
「うん。行ってみたい。ボク お城のペーパークラフト 作ったことあるよ」
明利は「すごい ペーパー城の城主なのね」と言って明るく笑う。笑顔がかわいい子だ。
「じゃ 今はない橋で4時半すぎに待ち合わせね」
彼女は ちょっと怪しいほほえみをして別れて行った。
怪しくたって何だって 好きな子のほほえみはステキに見えちゃうのだ。
良幸は家に帰ってから 明利と何を話そうか迷った。
もう お城のペーパークラフトも ほこりにまみれている。作ったのが安土桃山城と今ごろ分かったくらいだ。
「何もない城あとで 女の子と いったい何を話せばいいんだー?」
子どもだって小さな恋に悩みはついて来る。
最初のコメントを投稿しよう!