第1章 (現在)初デートは失敗

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 明利は石垣の方へ向かい「こっち」と 良幸を案内する。  2人は柳の並木を通り 草のじゅうたんを歩き 城あとへ登る。  明利が何もない所で「見て!」と言う。  良幸は明利を見た。  でも明利は 黒百合城の立て札を「見て」と言ったので、古い立札の方を向いていた。  難しい漢字は読めないが「城」と「有」は読める。  明利は 元 お城があった所に立ち  「この辺がお城よ。お姫様も歩いたかしら。とっても花の好きなお姫様だったって」  説明して歩く明利の姿は気品があって まるで 現代のお姫様のようだ。 『彼女はお城の殿様の子孫のお姫様?』  良幸は そんな気がして だまってついて行く。  明利は坂を下り 網でふさがれた古い井戸をのぞきこんだ。 「ここで幽霊が出るってうわさよ」と お化けのふりをした。  でも良幸はお化けを見たことがないし、明利のお化けは かわいすぎた。 「ふーん」って 首をかしげてほほ笑んでしまった。  明利はめげずに 興味を持ちそうな所を 「見て見て」とバックをふりふり 歩き回った。  良幸はきれいな彼女に「うんうん」うなずいて うわの空で 後をついて行く。
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