第1章

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コツコツ…とヒールの音が真っ暗闇に消えてゆく。 今日は暫くの間忘れていた遠い日の記憶を夢で見た。 私がまだ幼く、今思えば最後に笑った日の記憶だった。 子供の頃の記憶というのに、なんとも鮮明に思い出される日々であった。 周りの人も、 噴水のある公園も、 あの日の綺麗な夜空も、 艶やかな蝶も、 何も判って無かった無垢な自分も、 儚い母の顔も… だから、私は今日も夜空を歩く。 あの日を忘れ無いように。 たとえ、綺麗な記憶だけじゃなく、 汚れた記憶が混ざっていても…
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