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コツコツ…とヒールの音が真っ暗闇に消えてゆく。
今日は暫くの間忘れていた遠い日の記憶を夢で見た。
私がまだ幼く、今思えば最後に笑った日の記憶だった。
子供の頃の記憶というのに、なんとも鮮明に思い出される日々であった。
周りの人も、
噴水のある公園も、
あの日の綺麗な夜空も、
艶やかな蝶も、
何も判って無かった無垢な自分も、
儚い母の顔も…
だから、私は今日も夜空を歩く。
あの日を忘れ無いように。
たとえ、綺麗な記憶だけじゃなく、
汚れた記憶が混ざっていても…
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