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「お、チッカの新曲?」
現場から帰るバンに揺られながら、後部座席のヒロフミくんがカーラジオから流れる曲に反応する。
「最近ウザイくらいかかってるよなー。事務所のゴリ押しなんだべか?でも、ボーカルめっちゃかわいいから、許す」
ヒロフミくんの隣に座るテルくんが相槌を打つ。その意見には同意と密かに頷く。僕はハンドルを握りながら、2人の会話に耳を澄ませていた。
ラジオからは、人気急上昇中のバンド「chickadee(チッカディー略してチッカ)」の新曲が流れている。
夏の恋の終わりを線香花火に例えて歌った失恋ソングで、いつもアップテンポなロックチューンが多い彼らの代表曲とは違って、今回の曲はバラードだった。
耳に残るメロディが印象的な曲だった。ボーカルの伸びやかで澄んだ声にぴったりな楽曲ではないだろうかと思う。
「ひよだろ?つぅか、地元同じなんだべ?こないだ先輩が言ってたんさ」
「マジで?つぅかさ、モデルのSyunpeiも同じなんだろ?ひよのカレシだろ?同級生で高校の時から付き合ってるって噂なんだと」
「しゅんぺー?誰だそれ?」
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