Yesterday & Tomorrow

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見た目はちょっと怖い感じはあるけれど、内面は努力家で素直ないい後輩たちだ。 職場に活気があると、仕事自体が楽しく思えてくるから不思議だ。 最近は責任のある仕事も任せて貰えるようになったし、父親のような職人になるにはまだまだ遠い道のりだけれど、日々の生活は充実している。 仕事用のバンを月極駐車場に停め、何気なく顔を上げると、目先には住宅地に似つかわしくない趣きのある城が佇んでいる。 この駐車場の管理人で、僕の幼馴染みのお兄さんでもあるオスギさんの実家だ。 この駐車場を無料で使わせてもらう代わりに、僕はオスギさんが経営するバーで週に2回、アルバイトをしている。 最近はバーテンダーのような事もさせて貰ってるし、馴染みのお客さんも多いので、普段肉体労働で汗を流してる僕からしたら、ゆっくりと話をしながらお酒を提供する空間はいい息抜きになっていた。 店の奥にライブステージもあるから、好きな時に趣味のギターも弾ける。 オスギさん御殿を通り過ぎた隣に、小山内家(僕の家)がこじんまりと建っている。 「ただいま」 片付けと雑務を終えリビングに顔を出すと、職場から先に帰って、すでに風呂上がりの父親が祖父と共に、ビールを片手に晩酌を始めていた。
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