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「何だ?ゲーノー人の友達いるのか、優人は」
ポカンと口を開けたままテレビを見ていた祖父が父親に訊ねる。
「だから、友達じゃなくて、優人のガールフレンドだべよ。高校生の時から遊びに来てるべ?何回同じ事言ったら解んだ、この爺さんは。ボケちまったか?」
「何だぁ、ステディかぁ~」
今まで何十回と繰り返されてきたやり取りを暫く眺めつつ、バタバタと足音を立てて1階に降りて来た母親と入れ違いにリビングを出た。
「あらっ、お兄ちゃん、いつ帰って来てたの?やっだ~、うっかり長電話しちゃった~。すぐご飯の用意するわね」
いつも底抜けに明るくて、パタパタと忙しなく動き回る母親に少し和む。
「先、お風呂入るから」と告げると、「バスタオルなかったら、乾燥機の中ね~」とキッチンから声が聞こえてきた。
「もぅ~、お父さん!ソファの上に濡れたタオル置かないでって言ったでしょう!」
「うるせぇ~なぁ……」
子供のような父親を注意する母親の声も、小山内家の日常だ。
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