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ぼくはいつも不安なんだ。
彼は幼い頃から両親がほとんど家にいなかった。仕事が忙しくて、いつもぼくの家に預けられていた。
‘‘ひかる”って、優しく呼ぶその声が心地よくて。
いつしかその声を独り占めしたくなっていた。
彼の存在は いつも朧げで、儚くて。
ずっとずっと触れていないと
いなくなってしまうんじゃないかと思ってしまうほど、あやうくて。
たぶん、それを彼に言ったら、
「何わけのわかんないこと言ってんだ、殴るぞ」
とか、笑いながら言ってくるんだろうな。
それが、今、ぼくの不安を一時的に掻き消してくれる唯一の方法。
だから、ぼくは今日も明日も、彼の隣に座り続ける。
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