初恋

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放課後、窓枠の縁に腰掛け足をプラプラさせながら待っていた。 ガラガラと教室の扉が開いた。河田君が来た。 まだ教室に残っていた生徒たちがサーっといなくなった。私たちは教室に二人きりになった。 「急にごめん」 「大丈夫」 見つめあい、ドキドキした。声のトーンも心地いいし顔も格好いい。ほんとにいい男、などと思っていたら 「俺と付き合って」 「えー!私が?」 「他に誰がいるんだよ」 「誰もいない」 うそ。私、告白されたんだ。言葉がでなくなり、無言になった。好きな気持ちはもちろんある。けど、予想もしていない出来事にパニックになり何も言えなかった。 「返事、明日でいいから聞かせて」 私は頷いた。心臓が飛び出すかと思うほどドキドキした。きっと顔も真っ赤だったと思う。 初めて告白されたのは好きな人からだった。
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