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衣装のマントを作るために、生地を発注する。
今回は量も多いため、学校で制作するべく、ミシンも用意してもらった。
放課後残って作業。
手伝いにはいつものメンバー、蓮、蒼、キイちゃん、タケ&ケン。
布を切って縫って、首元にスナップボタン。
スナップボタンはハンドプレスで簡単に。
手縫いは苦手だし、ハンドプレスは皆にお任せ。
私は黙々とミシンで縫って、縫って、縫いまくる。
「……とも、真剣だ。可愛いな」
「蓮、お前はどんなともだって可愛いんだろうが」
「あぁ!確かに」
「でも、ともちゃん、いつだって可愛いもんね?」
「もちろん」
見ないぞ。
私はこっちに集中してるの。
だから、蓮を見ない!
そう、思うんだけど。
どうしても視線が向いて。
蓮と目が合った。
ふわっと微笑んだ蓮に、ちょっと頬が熱くなる。
あぁ、カッコいいな。
胸がキュンっとなって。
少し苦しい。
蓮が微笑むたびに好きになる。
触れるたびにどんどんハマっていく。
いつだって蓮を目で追う私。
そんな自分が、少し怖い時もある。
蓮が居なくなったら、私はどうするのって。
そう、考えてしまうくらい。
あぁ、いけない。
作業中だ。
黙々とミシンを使う私を見ていた皆。
「……ともって、イベント時に最大限に能力を発揮してるよな」
ポツリと蒼が漏らした。
「……え?そうかな」
「あぁ。ハチマキの名前とか、リレーに出なくて良い事にした交渉術とか」
「……あはは」
「桜花祭だって特典制提案したの、お前だろ?カフェだって、お前がいたからスムーズにできたし」
うぅー。
そう言われると、そうかもしれないけど……。
「私がやりたい様に我儘言っただけだよ……」
「それでも、うまく行ってるんだからそういうの向いてんのなって思ったんだよ」
「確かに、イベントごとは好き。みんな楽しそうだし、喜んでるの見るとうれしいよ」
皆の方に顔をあげてそう言えば。
蓮がにこっと笑った。
「とものそういうところが、やっぱり向いてるって言う事かもね」
皆が頷くのをみて。
新たな自分に気がついた。
少しだけ、未来の自分に希望の光を見出して。
うん。
やる気出た!
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