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真壁先生のいきなり席替え宣言から、大騒ぎで席替えが行われて。 一番にくじを引けたのは良かったんだけど。 「あ……窓際だ……やったっ」 軽くガッツポーズをしながらそう言えば。 クラスの中がシーンとなって。 みんなが一斉に黒板に書かれてる座席の番号を見た。 「ひーめちゃん、何番だったの?」 未だ鞄を肩にかけたままの私は、目の前のちょんまげが揺れる奈良くんの言葉に視線をあげる。 「あ、3番。窓際の後ろから2番目よ」 ランダムに書かれた番号は、確かに3番は窓際だった。 「あははっ、僕姫ちゃんの前だったみたい!よろしくね!」 目の前に揺れるちょんまげをちらりと見つつ、その下にあるくりっとした目を見る。 奈良輝一(ならきいち)くんは金髪に近い髪の前髪をちょんまげに結っていた。 にかっと笑う顔は幼さが見えるけど、彼の明るい笑顔は、朝から戸惑い続きの私には嬉しかった。 私の斜め前、奈良君の隣は西嶋蒼くん。 奈良君とは幼馴染らしい。 彼はブルーブラックの髪の色。 瞳も黒くてシュッとした感じ。 一重の切れ長の目が綺麗で、凛とした印象だった。 「姫、さっきコイツの頭撫でただろ」 「あ……いや、だって、西嶋くんかなり思い切ってたたいてたよ?」 「あぁ、こいつはアレくらい平気だ」 「そ……そぉ?なかなかすごい音だったけどね……」 「なんだ、お前ら同じ中学だったの?」 不意に後ろから聞こえてふりかえると、シルバーの髪をしたガタイの良い…… 「本多くん……」 「おう、姫、俺の名前もう覚えたのか?」 「あ、うん」 「なんだ、すげーな!」 「やっぱりそうなんだー!姫ちゃん、僕の名前もすぐ呼んでくれたからびっくりしちゃった」 「なに?じゃあ、姫は俺の下の名前、覚えてるのか?」 「本多、健(タケル)……でしょ?」 「おぉー!!せいかーい」 本当に感心してるのか、それともバカにしてるのか…… 自慢じゃないが、私は名前と顔を覚えるのだけは得意なんだ。 そして、オレンジの髪がくるんとしてるのは…… 「で、あなたは三浦健太くん」 「あはははっ、びっくりしたわ……姫さん、せいかーい」 何とも言えない気持ちでふと視線をずらした。
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