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空間の狭間にある、その秘密の場所は腐魔女の天敵となった一ノ瀬八雲の隠れ家だ。
この場所が作られたのはかなり昔。
数代前の八雲が研究場所として作った。
八雲は何度も転生を繰り返している。この場所は研究費用捻出の為のホムンクルス錬成室と闇会社の事務所がある。
他にも、歴史的価値のある研究資料などが保管された資料室だけの極秘の空間など、八雲は、空間の狭間を利用し転生する度に古文書や新たな魔法書を見つけては研究していた。
元々、陰陽師としての知識もある八雲は式神を使っていた。
だが、式神は八雲だけしか扱えず商品にはならない。
そこで思い付いたのが西洋錬金術のホムンクルスだ。
男性のホムンクルスなら、高純度蛋白質があれば量産出来る。
女性のホムンクルスは卵細胞があれば、より精巧なのが作れるがそう簡単には採取出来ない。
普通の細胞から作ると、何かしら不具合が起き商品として売り物には不向きなのだ。
ホムンクルスは元々は、別の目的で研究していたのだが、その研究が頓挫し放置していた。
しかし、ある出来事で高純度蛋白質を偶然入手した八雲は、試しに客のニーズに合わせホムンクルスを作り試験販売すると、これが人気商品となり、重要な資金源になった。 ドン佐多が赤玉を出すまではだが。
「赤玉が出る前に、もっと採取してれば良かったでち。でもあの時は、アレがこんなに高値で売れる商品になるとは思わなかったでち」
八雲は、残り少なくなった佐多の高純度蛋白質の冷凍保管容器を思い出し溜め息をついた。
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