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その後も、出雲五箇郷と出雲周辺の郷や村から、多くの人々が、木次館の布都斯と下春のもとと西利太館の和仁のもとを訪れ、布都斯を頭領と仰ぎ、忠誠を示した。
「他の郷の衆もここに訪ねてくる。その者たちに、あまった作物や産物を交換できぬか話せ。この広場に持ちよって交換してもよいぞ。交換せぬなら、あまった物を蓄えろ。蓄える方法は・・・」
訪ねた人々に、布都斯と下春は布都や乾那有たちから教えられた、作物を備蓄して商う方法を説いた。
人々は他の郷の人々と作物や産物について語りあい、帰っていった。
その後まもなく、二人を訪ねた人々が木次館の広場や鉄穴衆の西利太館の広場で、持ちよった作物や産物を交換するようになった。
これらの人々の中に、よその村人から、
「この穀物一袋を、麻布一枚と交換したい」
と頼まれると、わずかな見返りで引き受ける者が現れた。
この者は他の村人と交渉し、穀物と引き換えに麻布一枚と端切れを手に入れ、頼まれた村人に麻布一枚をとどけて、見返りの穀物と端切れを己の物にした。端切れも何枚か集まれば、それなりの衣に変身する。
このように、見返りを得て物品を一手にひき受け、他の村人たちと交渉してより多くの物と交換し、頼まれた分だけを村人に渡して残りを己の利益にする、商いの要領を得た者も現れたのである。
二月たらずで出雲、石見、伯岐、隠岐の百八十六の村から、豪族や郷長、村長たちが木次館や鉄穴衆の西利太館を訪れた。父・布都が語ったとおりになった。
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