二 出雲の頭領

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「このまま、大森を安芸(あき)に通じさせておきますか」  下春(したはる)布都斯(ふつし)にそう訊いた。 「出雲を諸国へ知らしめるに役立つ。好きにさせておけ」 「承知しました」 「それより、渡来する者たちだ・・・」  布都斯の表情が変った。下春と和仁(わに)に言う。 「以前も話したように、騎馬隊に商いをさせながら、各地の海辺を監視防備させよう。  兵は百六十騎。四騎で一小隊なら四十の騎馬小隊ができる。これらを数日おきに交代で監視防備させるのだ」 「わかりました」と下春。 「承知しました。布都斯殿」と和仁。 「下春も和仁も俺とともに動くのだから、俺を布都斯と呼び、もっと気楽に話せ」 「承知しました。いや、承知した」  そう言いながら和仁は笑い、布都斯と下春に深々とお辞儀した。 「では、このことも含め、近いうちに父上たちを交えて、(まつりごと)と諸国への策を話しあおう」 「わかった」  和仁と下春は布都斯に同意した。
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