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「了解、ボス」
風間さんは、ムスッと腕を組んで睨んでいる課長に、おどけたように笑いながら、警官みたいに敬礼をして見せる。
幼いころからの友人だという名探偵さんには、課長の鋭い眼力も、効力をもたないみたいだ。
「今日は、高橋さんへの謝罪とお礼をさせてもらって、しがない雇われ探偵は、大人しく引き上げますよ」
――私への、謝罪とお礼?
危ない所を助けてもらったのは、私の方なのに。
どうして、風間さんが、私に、謝罪とお礼?
わけが分からず小首をかしげていると、風間さんは、ピッと、右手の人差し指を立てた。
「ひとつ。高橋さんのハンドバックに、無断で盗聴器を仕掛けました。すみません」
「あ、はい」
それは、別にかまわない、
というか、おかげで助かったのだから、むしろ、よくぞ仕掛けてくれて、ありがとう、なんだけど。
湧いてくるのは、素朴な疑問。
「……でも、いつ? どうやって?」
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