25 抱擁-1

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「了解、ボス」 風間さんは、ムスッと腕を組んで睨んでいる課長に、おどけたように笑いながら、警官みたいに敬礼をして見せる。 幼いころからの友人だという名探偵さんには、課長の鋭い眼力も、効力をもたないみたいだ。 「今日は、高橋さんへの謝罪とお礼をさせてもらって、しがない雇われ探偵は、大人しく引き上げますよ」 ――私への、謝罪とお礼? 危ない所を助けてもらったのは、私の方なのに。 どうして、風間さんが、私に、謝罪とお礼? わけが分からず小首をかしげていると、風間さんは、ピッと、右手の人差し指を立てた。 「ひとつ。高橋さんのハンドバックに、無断で盗聴器を仕掛けました。すみません」 「あ、はい」 それは、別にかまわない、 というか、おかげで助かったのだから、むしろ、よくぞ仕掛けてくれて、ありがとう、なんだけど。 湧いてくるのは、素朴な疑問。 「……でも、いつ? どうやって?」
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