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まるで、別人。
声と、姿勢の変化だけで、こんなにも受ける印象が変わってしまうなんて、驚きだ。
これなら、あの短い間に風間さんだと気付けなくても、仕方ないかも。
「すごい……」
思わず口からこぼれ落ちた賞賛の呟きに、風間さんは、にっこり笑みを深める。
が、課長の反応は、とても冷淡だった。
「かくし芸大会はいいから、用件をすませろ」
「はいはい。わかりました。あんまり怒ると、高橋さんに嫌われますよ」
「別に、彼女に怒っているわけじゃない」
「君は、自分も含めて、彼女以外の全てに怒っているんですよね」
「よく分かっているじゃないか」
ギロリ、と、強まる課長の視線を受け、
風間さんは、かぶっていたハンチング帽を外して、苦笑を浮かべた。
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