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◆
翌朝、よく眠れた自分自身に正直驚いた。
混乱と緊張がちょうど良い安眠導入剤となったようだ。
リビングに行くと、机の上に僕の分の食事が用意されていた。
僕はそれをほおばってから、窓の外に二代目サンタがいるのを見つけて外に出る。
銀白の光が直に目に入ってきて、僕の目はくらんだ。
「ダッシャー、待て!」
二代目サンタの声が聞こえるや否や、僕は積もった雪の中に押し倒される。
見上げれば、トナカイが僕に鼻を押しつけていた。
たぶん、昨日僕をここに連れてきた奴だろう。
「お前も随分とダッシャーに気に入られたな。なんせ、今まで世話してやった俺を放っといてお前の所に行くんだからな」
二代目サンタは非常に不機嫌そうに僕を見下ろしていたが、僕が立ち上がるのにすぐに手を貸してくれた。
「なぁ、せっかくだし、空飛ぼうぜ」
返事をする間もなく、僕は手をつかまれたまま半ば無理やり雪の中を歩かされる。
ダッシャーは僕らの横を軽やかについてきていた。
家の裏に廻れば倉庫があって、何種類かのそりが置かれていた。
その中の一つを二代目サンタは取り出して、ダッシャーにくくりつけていく。
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